チャットセックスまでしていた夫への失望
過日、読売新聞の掲示板サイト「発言小町」で、面白いトピックを見つけました。
タイトルは、「AIチャットは浮気だと思いますか?」(2024年7月21日付)。
内容は、「夫のスマホをこっそり確認してみたら、AIが相手だった」というものです。
「チャットセックスまでしていた」とありました。投稿女性は、「生身の人間と浮気された衝撃となんら変わらない」と言っています。ただ、その投稿への多くの反応は、「そんなに気にすることはないでしょう」というものでした。それはポルノを見ることや、アダルト・ゲームと同じだから、と。
前回、「異性の友人と親しくするのは許されるかどうか」を考えながら、「排他性規範」について考察しました。「恋人や配偶者以外の異性とは、親密になってはいけない」というものです。ひと昔前までこれはたいへんに強い考え方でしたが、現在はだんだんと緩んできています。ただし、「親密」の程度問題であることには変わりありません。親密といっても、「話をする」程度の親しさならよいけれど、「性関係を持つ」といった深い関係になることには、多くの人は「許せない」と感じている。つまり、夫婦の親密関係は特別なものであるべきであり、それをないがしろにするのは許されない、という考え方がいまだ確固としてあるのです。
夫が年上の男性と旅館に泊まる…
ただし親しい相手というのは、「異性」とは限りませんし、このケースで見られるように「人間」とも限らないのです。
私は読売新聞の人生相談「人生案内」の回答者もしていますが、そこにもさまざまな“準”浮気相談が寄せられます。
その中で「夫がゲイだとわかった」(2017年2月7日付)という相談がありました。それは、60代の夫が自分に隠れて同性の恋人としばしば海外旅行に行っていたことがわかったというもの。この手の相談はけっこう古くからあり、今から60年以上前、1958年(私が生まれた翌年!)の同欄には、「夫が年上の男性と文通し旅館に泊まる」(1958年10月9日付)というものがありました。そのときの回答者は、「夫は一時的な病気だから、歳をとれば、いずれあなたのもとに戻ってくる」と、楽観的なアドバイスをしていましたが。
今では、同性との浮気でも、それが「性的行為」であれば、不貞行為として慰謝料を請求できる時代です(2019年東京地裁)。異性であろうが同性であろうが、配偶者が性的関係を持ったら「精神的苦痛」を受けるということが、法的にも認められるようになってきています。
また、風俗店などでの性関係についても、離婚原因になり、慰謝料請求もできるという見解が有力です。ただしそれは、「不貞行為」があった場合だけで、「セックス」ではない性的サービスを受ける風俗店に行っただけでは離婚を認めなかった判例もあります。