富山県でホタルイカが豊漁だ。昨年は歴史的な不漁だったが、今年はその5倍以上の漁獲量が見込まれている。時事通信社水産部の川本大吾部長は「例年なら料理店向けに流通する富山県産が、今年はスーパーで安く売られている。大粒でワタの詰まったホタルイカが食べごろだ」という――。
ボイルされた富山県産のホタルイカ
写真=筆者提供
ボイルされた富山県産のホタルイカ

地震の影響を回避してホタルイカが大漁

温暖化や海洋環境の異変などで、このところサンマやサケ、イカをはじめ、メジャーな魚介の不漁が続いている。この春、初ガツオなどの豊漁に期待がかかるが、一足早く、日本海で獲れるホタルイカが、漁業関係者の努力もあって、例年以上に好調な水揚げとなっている。

今年の元日に発生した能登半島地震は、石川県で甚大な被害をもたらしたことは記憶に新しい。隣接する富山県でも大きな被害が出ており、漁業被害も少なくなかった。ホタルイカ漁を目前に控え、県内の漁港では地割れや地盤沈下が発生したほか、ホタルイカを獲る定置網も破損。漁場となる富山湾内でも海底の地形が変化するなど「例年通りホタルイカ漁ができるのだろうか」と不安視された。

だが漁業関係者の漁港機能の回復、漁具の復旧への努力によって、3月1日に始まった富山湾でのホタルイカの定置網漁は、好調なスタートを切った。富山県農林水産総合技術センター水産研究所(滑川市)によると、3月1カ月間の水揚げ量は計1153トン。昨年3月は、わずか70トンにとどまったため、まさに大漁。漁業関係者のほか、加工・流通業者などもホタルイカの活発な取引を継続している。