管理職が手本とすべき裁判長の説諭

「裁判長は、判決の宣告をした後、被告人に対し、その将来について適当な訓戒をすることができる」(刑事訴訟規則221条)

人によっては何も言わないこともあるが、多くの場合、被告人に一言添える。典型的なのは以下のような内容となる。

「二度とこのような過ちを繰り返さないでください」
「これから刑務所に行ってもらうわけですが、そこで罪を償って、また法廷で裁かれることがないよう注意してください」

傍聴好きにとっては耳タコのフレーズで、家族のことを持ち出すのも王道だ。

「刑期が明けるのを奥さんやお子さんが待っているのですから、しっかり反省し、二度と~(以下同)」

通常はこの程度で終わることが多いが、社会的な影響が大きい大事件や、審理の過程で裁判長の琴線に触れたときなどは、身を乗り出し、長く熱のこもった説諭に。ときには親身な言葉に心を動かされた被告人がすすり泣く光景も見られる。

すでに判決は出ているのに、なぜ裁判長は被告人に語りかけるのか。

理由は一つしかない。再犯防止のためである。裁判の目的は犯罪者を刑務所に入れることではなく、罪を償わせ、被告人を更生させることなのだ。

被告人がしたことは悪い。だから罰として刑務所に入ってもらう。しかし、そこで罪を償えば今回の件には終止符が打たれる。出所し、やり直すことができる。そこに希望を持ってもらいたい。

親が、きょうだいが、家族が、友人が、立ち直ることを期待し出所の日を指折り数えているのだから、ヤケにならず、前向きに生きて欲しい。裁判長はそういうメッセージを送るのである。それでもまた罪を犯す人もいるけれど、絶望感に苛まれたとき、裁判長の言葉が胸に蘇る被告人はきっといるだろう。一定の効果があるからこそ、説諭という儀式が存在するのだと筆者は思う。

仕事の場面に置き換えてみよう。