パワハラは、それが原因でうつ病になり自殺を引き起こしたことが、裁判で労災として認定されてから注目を集めるようになった。雇用調整を伴うリストラの中で顕在化してきた側面もある。しかし最近では、従来なら問題にならなかったような些細なことでパワハラだと訴えられるケースが増えている。上司としては、部下への叱り方1つで、裁判沙汰になりかねない時代になったのだ。
元来、パワハラに該当するかどうかの1つの判断基準は「人権侵害」に当たるかどうかだ。「愚図な性格だから結婚できない」「親の顔を見たい」「三流大学卒だからこの程度の仕事しかできない」など、仕事と関係のないことを持ち出せばレッドカードとなる。「酒が飲めなければ営業はできない」などと断定的に強要することもいまや御法度だ。大相撲の「かわいがり」の例を持ち出すまでもなく、従来「よし」とされてきたこと、特定の業界では常識とされてきたことが、もはや世間の非常識であることに気づく必要がある。
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