マーケティングの基本が貫き通せていない日本の観光
弱いとされていた日本の観光産業。ところが2012年以降、海外からの日本への旅行者が急増(図1)。世界の観光大国入りが、いよいよ射程内に入りつつある。この流れを絶やさず次へとつなぐためにも、世界の観光最先進地域に学ぶ必要がある。
15年に日本を訪れた外国人旅行者は1973万人。これは過去最多の数字であり、前年を約600万人上回る。13年には1036万人だった訪日旅行者数は、2年間でほぼ倍増したことになる。
近年の日本のインバウンド観光の活性化については、円安に傾いた為替レートや、日本政府のビザ発給要件の緩和、LCCの就航の増加といった要因が指摘される。
とはいえ、日本の外国人旅行者数は、まだ世界のトップ10には入らない。最上位のフランス、アメリカ、スペインといった世界の観光大国には、年間6000万人を超える外国人旅行者が訪れる。
しかしこれは、日本のインバウンド観光にはさらなる成長の余地があるということでもある。だからこそ、我々は世界の先進的な観光地域を見渡し、次のステージに上がるには何をすべきかを考えなければならない。
では、我々は世界のどの地域に目を向けるべきか。
こうした事例の分析に当たって留意すべきは、自らが辿ってきた過去を踏まえた省察としないと、上滑りな知見を導きがちなことだ。そこへいくと、昔から多くの日本人に馴染みがあり、共感をもって理解できるという条件において、ハワイは間違いなく優れたディスティネーション(旅行目的地)である。しかも、この常夏の楽園は、世界屈指の大規模な高級リゾート地でもある。