キンちゃんの男泣き

激烈なラグビーワールドカップ(W杯)の戦いが終わった。最後の米国戦の翌朝、日本代表最年長の37歳、キンちゃんこと大野均(東芝)の顔には充実感が漂っていた。英国グロスター近郊のホテル。いつもの、のどかな口調で感想を漏らした。

「1、2度目のワールドカップでは全然勝つことができずに終わった。でも、3度目の今回は勝つことができた。決勝トーナメントにいけなかった悔しさはあるけど、率直にいえば、大きな達成感があります」

確かに目標のベスト8入りは逃した。だが日本代表は歴史的な勝利を3つも積み重ねた。これまでの7大会で通算1勝21敗2分けだったのだから、いかにこの成績が快挙だったかがわかる。

とくに初戦。過去W杯2度優勝の南アフリカにノーサイド寸前の逆転勝ちを収めた。このとき、キンちゃんは人目をはばからずに男泣きした。192センチ、106キロの大きなからだを震わせ、あごひげの顔をくしゃくしゃにした。