相手の了解なしでも録音は証拠になる
「報道ステーション」の本番中、自らの降板について異例のコメントをした元官僚の古賀茂明氏。古舘伊知郎キャスターとのバトルでは、楽屋でのやりとりを録音していたことを明かして、場合によっては公開することを匂わせた。
自らの身を守るために会話を録音するのは、有効な手段だが、相手に内緒で録音するのは後ろめたい気持ちもあるだろう。一般のビジネスパーソンもセクハラやパワハラ、不当解雇対策として上司や同僚との会話を録音することはありうるが、相手に黙って録音しても法的には問題ないのだろうか。友常理子弁護士は、次のように解説する。
「録音は基本的に適法です。相手の了解を得ないまま録音しても、そのこと自体で罪に問われることはないでしょう。ただ、地裁では、無断録音は不法な行為だとして証拠能力を否定した裁判例もあります。まず問題ないと考えられますが、絶対に大丈夫とまではいえません」
録音が不法行為になるとしたら、密室での会話を第三者がこっそり盗聴・録音するケースだ。しかし、民事なら、盗聴ですら証拠能力が否定される場合は少ないという。
「刑事事件では違法に収集した証拠は排除されるという法則があります。しかし、民事では著しく反社会的な手段で収集されたような場合を除き証拠能力が認められます。たとえ盗聴が不法行為と判断されたとしても、セクハラやパワハラの民事裁判では基本的に証拠となると考えてよいと思います」