録音を公開するとプライバシー侵害?

録音行為は無断で行っても問題ないが、録音した音声の扱い方には注意が必要だ。

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無断録音の「使い道」と合法・違法の境界線

たとえば告発のため、自分が上司から浴びせられた暴言をネットで公開したくても、慎重に判断したほうがいい。公開した音声に私生活上の事柄が含まれているとプライバシー権侵害、公開したことによって発言者の社会的評価が低下するような場合は名誉毀損となるおそれがある。

「音声をそのまま公開したが、どこの誰の発言だかわからないといった場合は、プライバシー権侵害や名誉毀損が成立する可能性は低いでしょう。しかし、個人が特定できる形で公開すると、リスクは高まります」

また、ネットで公開すると脅して謝罪や金品を要求すれば、脅迫罪や強要罪、恐喝罪に問われるおそれもある。セクハラやパワハラ、不当解雇などの和解交渉で、公開を駆け引きの材料として使うことはありうるが、加減がわからない場合は、弁護士に任せたほうがいいだろう。

録音を公開したことによって会社から懲戒処分を科されるリスクはどうだろうか。

「会社の営業秘密を洩らしたような場合はもちろん、そうでない場合も、処分の対象になりえるので注意が必要です」

録音は強力な武器だが、公開にはリスクもあることを覚えておこう。

(図版作成=大橋昭一)
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