「所有」から「共有(シェア)」へ
これは昨今のトレンドになっている「共有経済」の典型である。ひと昔前の、広大な別荘とか高級車などを自ら所有して社会的ステータスを誇示する風潮はしだいに薄れつつあり、あまっている(今は使っていない)資産などをみんなで共有しようという傾向に変わってきた。
マイカー(私の車)という言葉には、自分も車を持てたという喜びの語感があったけれど、いまやほとんどの人が車を持っている。その結果として交通は渋滞し、排気ガスもたまる。一方で、四六時中車を運転している人は少ないし、車庫に長い間眠っている車もある。この空き時間をうまく利用して、車を他人に貸したり、貸してもらったり、都心への通勤で相乗りできれば、ずいぶん効率的である。
インターネットを多くの人が利用することで、さまざまなニーズを世界規模で、あるいは逆に、ごく近所の人びとの間でマッチングできるようになると、物をいちいち買うよりは、お互いに融通しあう(利用しあう)方が合理的にもなるだろう。時代は、物の所有から物やサービスの共同利用へと動きつつある。
さて、このサイトの利用者としての私の感想は以下のとおりである。
(1)お互いプロフィールを確認し合っての契約であり、以前に利用した人たちのレビュー(感想)も見られるし、何度かメールで話し合っているので、いきなりホテルにチェックインするよりも安心感がある。
(2)中には適格性を欠くようなホストも存在するので、契約する前には十分時間をかけて相手を選ばなくてはいけない。
(3)利用して良かったと思った場合は、そのレビューを書くことがサイトから要請され、感想に対するホストからの返信もある。これらのやり取りはすべて専用のサイトを通じて行われるから、サイトを利用している人びとのコミュニティが誕生する。
(3)で大事なのは、このコミュニティがオンラインだけで成り立っているわけではないことである。きっかけはインターネットだけれど、利用者は実際に現地に赴き、そこでホストに会い、実際に生活する。そういう過程で新たな交流が生まれる。だから、新しいコミュニティはサイバー空間と現実世界が交差する地点に生まれると言ってもいい。このような可能性は、これからもっと広がっていくだろう。
というわけで、サイバーリテラシー・プリンシプル(24)は<オンラインが新たなコミュニティを生む>である。