気象情報で売上高営業利益率約20%の理由
ウェザーニューズは民間気象情報会社の老舗。年商130億円と、世界最大の気象情報会社でもある。近年の売上高営業利益率は20%前後。収益性も高い。千葉の幕張に本社を構え、世界の空と向かい合いながら展開している事業は、着実に成長を続けている。
情報化社会が時代のキーワードとなって久しい。この新しい時代のなかでいえるのは、情報化社会とは、情報そのもので収益をあげることが極めて難しい社会だということである。インターネット上では企業情報も、料理のレシピも、多くが無料で行き交う。
天気予報もまた、気象庁によってインターネット上で無料公開されている。また、かつては公開されていなかった、気象庁などの国の機関が収集した気象データも、規制緩和の流れのなかで、今では広く民間気象会社に公開されている。同じ気象データを用いれば、気象庁も民間気象会社も、予測の的中率に大差はない。
世の中に偏在している気象情報。これを販売するウェザーニューズが成長を続ける鍵はどこにあるのか。情報がフリーの時代に情報で稼ぐコツを考えてみたい。
ウェザーニューズの原点は航海気象サービスである。たとえば、一隻の貨物船がサンフランシスコから横浜に向かおうとしているとしよう。当然のようにこの船は、海洋上の最短距離を進もうとするが、それが安全なルートとは限らない。波の高い海域は迂回しなければ、海難事故になりかねない。しかし、予定通り目的地に着くには、穏やかな海ばかりを選んではいられない。日程の遅延の回避なのか、それとも燃料費の節約が重要なのか。何を優先するかによっても、適切な航路は異なる。しかも、これらの判断の前提となる海洋上の気象は、航海の間も刻々と変化していく。
ここにウェザーニューズの出番がある。ウェザーニューズは、安全かつ効率的な船舶の運航を支援するべく、海洋上の気象予測に加えて、海流や、個々の船舶の速度と燃費の相関、運航スケジュールなどを踏まえて、どの航路が最適かを、コンピュータを使ってはじき出す。そして、そこから導き出された航路指針を、出航前そして航海中の船に必要に応じて、随時専門オペレーターを介してリコメンドする体制を整えている。