アナリストたちに、いま注目の企業を選んでもらい、それらの会社が快進撃を続ける理由について解説をしてもらった。不利な市場環境でも利益を生み出す戦略やビジネスモデルとは、どのようなものなのだろうか。
0円のものを100円で売る:天気情報が有料になった理由
新しいニーズを掘り起こすには、これまでの常識に縛られない大胆な発想が必要だ。たとえば、かつて水はタダで飲むものだったが、ボトルに詰めた途端にミネラルウオーターとして売れるようになった。
同じように、これまで無料だったものに付加価値をつけて有料化する、まさに0円のものを100円で売るビジネスモデルで利益をあげている会社は多い。
たとえば天気情報は、本来は気象庁というお役所が提供しているもの。いまでもタダで入手する人は多いはずだ。しかし、ウェザーニューズは天気情報を有料化して利益を出している。12年5月期決算では3期連続増収、7期連続増益だ。いったい誰がお金を出して天気情報を買うのか。ラジオNIKKEI記者の和島英樹氏は、次のように解説する。
「主な顧客は海運会社や航空会社です。交通は気象によって消費する燃料の量が変わりますが、気象庁の情報だけでは、節約に最適な航路がわからない。そこでウェザーニューズから気象情報を買うわけです。一方、個人向けに気象情報を展開するサービスも堅調です。ケータイの有料アプリは、ゲリラ豪雨が発生するたびに会員が増えています。いまはスマホへの移行期ですが、こちらも将来性は高い」
駐車場ビジネスも、無料から有料の流れに乗った事業だ。以前は路上駐車する人が後を絶たなかったが、06年の道交法改正以降、取り締まりが強化され、「罰金を取られるよりマシだ」と有料駐車場を利用する人が増えてきた。
それを裏付けるように、業界大手のパーク24は上場以来14期連続で増収。12年10月期でも過去最高の売上高と利益が予想されている。