完全ワンプライス:「追加料金0円」と高い商品開発力

【ジェイアイエヌ】同社が運営する「JINS」店舗。とがったデザインよりかけ心地を重視した商品開発で赤字から復活した。

セリアが業界の常識を変えて成功したように、眼鏡業界でも革命を起こした会社がある。低価格眼鏡店「JINS」を展開するジェイアイエヌだ。眼鏡業界ではSPA(製造小売り)業態の企業が成長して、眼鏡のファストファッション化が進んでいる。低価格を売りにする眼鏡店は、いまや珍しい存在ではない。では、JINSは何が革新的だったのか。藤野氏は、「だましなしの完全ワンプライスが新しい」と同店を高く評価する。

「眼鏡はフレーム、レンズ一式で価格を表示する販売方法が一般的です。ただ、レンズの度数が上がったり厚みをなくす加工をすると、加工料として追加料金が発生して、結局は当初の価格より高くなります。つまり低価格で集客し、加工料で利益を出すというやり方がまかり通っていたわけです。JINSは、こうした販売方法に異を唱えて、追加料金0円のワンプライスを実現した。低価格眼鏡を扱う店は増えてきましたが、それが他店と一線を画すところでしょう」(藤野氏)

JINSの強みはほかにもある。商品開発力だ。たとえばTR-90と呼ばれる樹脂素材に目をつけ、超軽量の「エア・フレーム」を開発。発売から2週間で一部在庫が尽きるほどのヒットを記録し、看板シリーズになった。パソコンのブルーライトをカットするPC用眼鏡「JINS PC」も、他社に先駆けてリリース。商品開発力の高さを見せつけた。肝心の業績はどうか。

「本数ベースでは、業界トップの眼鏡市場に並びました。店舗数は眼鏡市場の4分の1程度なので、1店舗当たりの販売本数はJINSのほうがずっと多い。出店余地は十分にあって、今後の成長にも期待ができます」(藤野氏)