専門職の「出会い系サイト」:あえて参加者を限定し必要な情報を提供

男女の「出会い系」は犯罪を誘発しかねないが、じつは専門職の「出会い系サイト」は社会的意義が高いだけでなく、市場として成長する可能性を秘めている。

たとえば11期連続最高益更新中のエムスリーは、日本の医師の7割にあたる22万人が登録する医療サイト「MR君」を運営。医師が知りたい情報を登録して、それを見た製薬会社がメールや動画で情報を送る。いわば医師と製薬会社の出会い系だ。

「最近では、薬の臨床試験を行う製薬会社と、それに協力する医師をマッチングさせる『治験君』というサイトも運営。これが軌道に乗れば、新薬をより早く世に出せるようになります」(和島氏)

同じ医療系では、医療・介護専門人材紹介のエス・エム・エスが8期連続増益を達成した。同社は看護師求人サイト「ナース人材バンク」、介護コミュニティサイト「安心介護」などを運営。これも病院と看護師、介護施設とスタッフ、要介護者やその家族が出会う場だ。

「看護師の人材紹介の手数料は低いが、ナース服の販売など物販と絡めて、きちんと収益化ができている。今後、看護や介護のニーズが高まることはあっても萎むことはない。まだ小さな会社ですが、大化けの可能性を持った1社です」(カブ知恵代表取締役 藤井英敏氏)

経営者にぜひ知っておいてもらいたい出会い系が最高利益を連続更新中の日本M&Aセンターだ。同社が手掛けているのは友好的なM&A。会社乗っ取りの敵対的M&Aではなく、後継者不在で経営者自ら事業の売却先を探しているケースが中心だ。

和島氏は好調の要因を次のように分析する。

「団塊世代が年金受給年齢になって、事業承継のニーズが高まっていることが大きいでしょう。事業売却の話はデリケートで仲介が難しいのですが、同社はもともと会計事務所の全国ネットワークからスピンアウトした会社なので、ネットワークが広く、実績もある。その点も高く評価されています」

2期連続最高益の翻訳センターも見逃せない。翻訳の担い手は、いまも昔もフリーランスだが、専門性が高い分野や言語の翻訳ほどニッチになり、企業と翻訳者のマッチングは困難になる。しかし約4400名の登録翻訳者を擁する同社にそうした悩みはない。

「同社は翻訳支援ツールを開発して翻訳者に提供し、翻訳作業の効率化を図っています。このような組織的な取り組みができるのも強みでしょう」(TIW社長 藤根靖晃氏)