では、お金を入れている場合はどうか。もちろん、60分までは駐車できるのだが、それを超えた場合でも、説諭基準(お目こぼししてもらえる基準値)が定められている。
「警察署によって違いはありますが、時間超過の場合、15分の超過(駐車時間としては75分)になってはじめて取り締まりを開始する警察署がほとんどです」
つまり、パーキングメーターにお金を入れると、取り締まりを避けて駐車できる時間が59分から74分へ15分間延びるという実質的な効果がある(逆に言えば、それだけの効果しかない)ということだ。
正直者が馬鹿見る現状の運用ルール
以上のように、パーキングメーターは59分までは事実上、無料駐車が可能なのだが、それがまかり通るようになると、きちんと料金を支払っているドライバーはたまらない。悪用を防ぐことはできないのだろうか。
「パーキングチケットなら前払い制でお札が使えるため、未納問題は解決できます。ただ、パーキングチケット発給機の設置はあまり進んでいません。そもそも両替に1時間近くかかるはずがないのだから、運用ルールを変えて20分程度で取り締まりを始めればいいのですが、いまのところそうした動きも見られません」
正直に払った人が馬鹿を見る現状のシステム。早急な改善を望みたい。
(答えていただいた人=元駐車監視員 松木和哉 図版作成=ライヴアート)