自分のスキルを社外で無償提供
同じく経営コンサルタントの大塚氏は、50代以降の勝ち組に対して、「大きな流れを俯瞰する力、大局観を養うべき」と提言する。読むべき本としてあげるのは、『失敗の本質~日本軍の組織論的研究』だ。一橋大学教授(当時)の野中郁次郎氏などが執筆した約30年前の本だが、今、再び脚光を浴びているという。
序章に、「平時的状況のもとでは有効かつ順調に機能しえたとしても、危機が生じたときは、大東亜戦争で日本軍が露呈した組織的欠陥を再び表面化させないという保証はない」などと書かれた、いわば日本的組織論・戦略論の“古典”。グローバル競争で辛酸をなめる日本企業にとってバイブル的存在ともいわれている。
それでは反対に、出世とは無縁な立場となった50代はどうすればいいか。無事、定年するまでには出向・転籍、リストラといったリスクがつきまとう。
「よほど優れたスキルがある人なら別ですが、威張り散らす人や挨拶できない人は会社の評価が低いだけでなく、後輩からも疎まれます。逆に、周囲の人に対して面倒見がいい人は、やむなく退職したとしても、実力がピークを迎えつつある後輩に慕われ、仕事が回ってくることも珍しくありません」
出世はできなかったとしても、人間的なよさがあれば、定年後も再雇用され、収入を得ることは可能となる。前出・小宮氏もこう付け加える。
「50代以降は、自分の持っているスキルを、会社の外で生かすべきでしょう。例えば経理・財務担当者なら、週末や勤務時間外に友人や知り合いの会社の手伝いをする。すると退職後に雇ってもらえるかもしれない。営業の能力がある人なら、顧客を若手や友人などに紹介する。ノウハウを本業に支障のない範囲で伝える。そうした事前のネットワークづくりが、あとで自分を助けてくれるかもしれません」
学び方のポイント
1. さらなる進歩のためには、自己否定と自己反省
2. 音楽、文学、歌舞伎……。「教養」こそが財産
3. 後輩の面倒見がいいと定年後に仕事が回ってくる
1962年生まれ。リクルート勤務後に渡米。MBAを取得し、現在オーダーメイド型営業研修や法人コンサルを。新刊『9割の人ができるのに、やっていない仕事のコツ』発売予定。
1957年生まれ。京都大学卒業後、東京銀行に入行。米留学(MBA取得)などを経て現職。十数社の非常勤取締役や監査役を。『ビジネスマンのための「勉強力」養成講座』など著書多数。