「正社員クビ自由化」時代も到来間近!? 鳴り物入りのアベノミクスは、しかし、「個人」を守ってくれるわけではない。何歳になっても、働きながら勉強し続けることが身を助けるのだ。
いかに人を動かすか――。昔も今も、
これが40代以降のビジネスパーソンの悩みのタネだろう。組織全体で大きな仕事をするためには一にも二にも、部下を束ね動かすリーダーの存在が重要であることはいうまでもない。
ならば、そのスキルを身につけるため、何を学べばいいのだろう。
「スキル? そんなこといっていたら部下はついてこないかもしれませんよ。業務上必要なスキルは30代までに完全にしておいて、30代後半から40代にかけては人の上に立つことを前提にして勉強する。では、一体何を? ひと言でいえば、『正しい生き方』です。これを習得するには、一朝一夕にはいきません。スキルなんていう小手先なものではなくて、もっと骨太なもの。最終的に、部下を動かすのは上司の信念と覚悟なんですね」
そう語る経営コンサルタントの小宮一慶氏が推薦するのは、『論語』『老子』を含む中国の古典や仏教書、松下幸之助さんを筆頭とする日本の歴代の一流経営者の著作を読むことである(表参照)。
すでに読んだ、という向きもあるだろうが、一読して理解したつもりになるのではなく、繰り返し読む。
人間とは何か、人物とはどういう存在か、人間の本質に迫る記述の宝庫である、このような“古典”にはその価値がある。小宮氏はこの読書法を「重読」と命名し、枕元にそれらの本を置き、毎日就寝前に数ページ必ず読むそうだ。
例えば、若い頃何度も読んだという中国・明の時代に書かれた『菜根譚』にはこんなことが書かれている。
「人物的に素晴らしい人は、ふつうの人と比べて特に変わったところがあるわけではない。ただ、自分を飾らず、ありのままに生きているだけである」