消費税率引き上げ後、次のような経験はないだろうか。安いと思った商品をレジに持っていくと、予想以上の金額に。慌てて値札を見ると、じつは税込価格ではなく税抜価格が表示されていた……。

以前は総額表示が義務づけられていたが、消費税率引き上げ後は税抜表示も許されるようになった(2017年3月31日までの時限立法)。じつにまぎらわしいが、混乱を避けるため、税抜価格を表示する場合には一定のルールが設けられている。消費者問題に詳しい山口政貴弁護士は次のように解説する。

「税抜表示の場合、価格の後ろに(税抜)(税別)(本体価格)などの表示が必要。店内で一括して明示するなら、『当店の価格はすべて税抜表示です』『別途、消費税8%いただきます』といった掲示が求められます」

もちろん税抜と表示されていても、消費者の誤認を招く書き方はアウト。たとえば価格の文字に比べて(税抜)の文字が極端に小さかったり薄かったりすると、消費者は価格のほうに意識がいって、税込価格と誤認してしまうおそれがあるのでNGだ。

前述のように税抜価格であることを店内で一括して示す方法も認められている。その場合は、表示する場所も重要だ。

「税抜か税込かの表示は、商品を選択する時点でなされている必要があります。レジ周辺だけの表示では不十分。入り口や店内の目立つ場所、あるいは棚のところで明示すべきでしょう」