シャンプーのまとめ買いは結局、損
年収500万円未満なら年間約7万円、年収1000万円近くならば約14万円――。この数字、来春、消費税が5%から8%になることで負担が増える分の額です(表)。
国民全員が痛みを分かち合うとはいえ、できるだけその痛みを抑えたいのが人情。増税前の安いうちに買いだめしたくなる衝動に襲われそうですが、ちょっとお待ちください。
とりわけ注意が必要なのは、家計を預かることの多い女性陣。例えば、トイレットペーパーや歯磨き粉、シャンプー、洗剤といった日用雑貨を増税前につい買いに走ってしまうに違いありません。一見おトクです。しかし、これが結果的に無駄遣いとなることが非常に多いのです。
なぜかといえば、たくさんの在庫を抱えると、たいてい使い方が雑になるから。過剰在庫が人を無意識にそうさせてしまうようなのです。
例えば、シャンプーのボトルの底にまだ液体が少し残っているのに、ストックがあるからとあっさり捨てる。缶詰を大量に買い込んでも、いつの間にか賞味期限は切れ、食べないまま廃棄。すでにいくつか保存してあるうえに、この増税のタイミングでさらに買い足せば、結果は目に見えています。それに、買いだめしても、その保管場所を見つけるのはひと苦労でストレス源になります。
確かに、課税品目のすべてで消費税率の引き上げ分(3%分)が100%小売価格に転嫁されれば、消費者物価指数が2%程度押し上げられると言われており、そのダメージは小さくはありません。しかし、日用品の「買いだめスイッチ」をONにしてはなりません。自宅内のモノでは、消費電力の削減率が大きいLED電球の導入は十分検討の余地がありますが、その他は意識的に高ぶる消費意欲を抑えるべきでしょう。
一方、買いだめしてもいいものとは何でしょうか。「欲しい」ではなく「必要」な人に限定されますが、バッグや時計、宝石といった高級ブランドは高価ゆえ、増税前に買ってしまうという考え方はあります。ここ最近、円安傾向で商品価格は上がり気味で増税後もバーゲンはまず期待できない。ならば、3月までに購入しておく、という発想です。