通信速度調査には「やらせ」も混在
NTTドコモが参入し、これで大手3社の携帯電話会社(キャリア)からiPhoneを購入できるようになった。それではどのキャリアを選べばいいのか。「ネットワーク」「サービス」「料金」という3つの観点から3社を比較してみたい。
ネットワークに関しては、ソフトバンクに安定感がある。過去5年間、iPhoneを取り扱ってきた経験の積み重ねが奏功している。地方のゴルフ場などでは圏外となる場合もあるが、都心部では傘下のイー・モバイルのネットワークにも接続するので比較的、つながりやすい印象だ。KDDI(au)は、高速サービス「LTE」を「プラチナバンド」と呼ばれるつながりやすい周波数帯で全国展開している。地方や離島でも高速通信ができるのが強みだ。ドコモはiPhoneに関してまだまだ「勉強中」という段階で、つながりやすさや速度で見劣りする場面が多い。今後、iPhoneに合わせたネットワークの調整を進めていくことになるだろう。
ネット上などで、3社のiPhoneで通信速度を比較した調査記事をみる機会もあるだろう。「ソフトバンクが最強」「auがダントツ」などといった偏った結果がでている。こうした記事は、中立かつ公平に調査しているものだけでなく、キャリアが匿名で媒体に金を出し、自社に有利な場所で調査させたものも混じっており、鵜呑みにしないほうがいい。
重要なことは、虚実の不確かな調査結果よりも、自宅周辺や勤務先、通勤経路などでちゃんと使えるかどうかだ。会社の同僚や友人、家族など、周辺のユーザーの声を聞いて、キャリアを選ぶのがいいだろう。
サービスに関しては、基本的に3キャリアで横並びの状態だといえる。アップルが提供するサービスはどのキャリアでも利用できる。残念ながら現状では、携帯電話会社は通信回線のみを提供する「土管屋」になりさがってしまっている。
そんななか、数少ない違いのひとつが留守番電話だ。ソフトバンクとauでは録音された音声データが配信される「ビジュアルボイスメール」という機能がある。録音日時が一目でわかり、再生や停止も画面上で操作できるため、とても使いやすい。一方、ドコモでは音声ガイダンスに従う従来通りの操作方法しかない。留守番電話をよく使うユーザーであれば、ドコモのiPhoneは不便だろう。