開催決定後動いた株はもう一度買われる

2013年9月7日、アルゼンチン・ブエノスアイレスで行われた国際オリンピック委員会(IOC)総会で、20年夏季五輪・パラリンピックの開催地が東京と決まると、週明けの9日の株式市場はこれを好感。日経平均株価は1万4205円と前日比+334円まで上昇した。

「直前はマドリード優勢と伝えられ株価が大幅下落していただけに、インパクトがありました。アベノミクスの成長戦略が失望されていた中、五輪開催地決定は“第四の矢”になった。安倍首相と、含み損を抱えていた個人投資家にとっては、まさに神風が吹いた感じ。あれがなければ日経平均は、今ごろ1万2000円台に沈んでいたでしょう」

とは、カブ知恵代表取締役・藤井英敏氏。上昇基調は3週間続き、ひとまずは終息した。しかし、東京で五輪が開催されるのは、まだ7年も先の話。今後も「折に触れ相場になる」と藤井氏は見ている。

「そのときにはまず、五輪開催地決定直後に動いた銘柄が、もう一度買われるでしょう。その筆頭がゼネコン。選手村や競技場建設はもちろん、東京都はこれを機に高度経済成長期につくったインフラの再整備を一気に進める計画です。建設株には国土強靭化やリニア新幹線などの材料もあり、息の長い相場になりそう」

もっとも「建設ラッシュは“需要の先食い”でしかない」との冷めた意見もある。少子高齢化が進む日本では、建設業界が成長するシナリオは描きにくい。「7年後まではいいが8年目以降を考えれば、現在の株価は割高に見える」というわけだ。こうした見方に対し藤井氏は、

「理屈はそのとおりですが、現実は得てして理屈を超えるものです。こんな株が騰あがるはずがない→空売りを入れる→だが下がらない→損失が膨らむ→やむなく高値で買い戻す、といった動きを巻き込んで、大相場になる可能性があります」