メンタル面での不調を訴える人が増えている。部下がそうなったら、どのように対応すればいいのだろうか。
まずは、上司が本人に話を聞き、仕事の負担を軽減するとともに、本人に医療機関の受診を勧めるべきだろう。それでも欠勤が続くと、本人と相談のうえ、まずは有給休暇で対応させるケースが多い。それで回復しなければ、次は病気休職制度での対応だ。これは法律に定められた制度ではないが、ほとんどの企業が就業規則で規定を設けている。休職期間も数カ月から1~2年まで、さまざまだ。
では、病気休職の期間が終わっても回復しなかったらどうなるか。労務問題に詳しい千葉博弁護士は、次のように解説する。
「『休職期間満了時までに、復帰できなければ退職』と就業規則に定めてあれば、一般的にはそのまま退職となります。ただ、必ずしもみんなが規定どおりに辞めるとは限りません。退職を拒否したり、主治医の『軽作業なら復帰可能』という診断書を盾に復帰する社員もいます」
一般に主治医は、患者が希望すれば「復帰可能」との診断を下しやすい傾向がある。その場合、仮に「辞めてもらいたい」が会社の本音であっても、解雇を強行するのは難しい。
無理して復帰しても、すぐにまた出社できなくなったら、主治医の診断は信用できないということにはならないのだろうか。
「その場合も、会社が復帰のための適切な環境整備を怠ったと主張されれば、解雇は認められにくくなります」(千葉弁護士)