大ヒット中の映画『アナと雪の女王』。主題歌が印象的で、気づいたら「ありの~ままの~♪」と口ずさんでいたという人も多いだろう。ただ、同じノリのままツイッターで歌詞をつぶやくのは注意したほうがいい。かつてJASRAC常務理事が「ツイッターで歌詞をつぶやくと著作権法違反」という趣旨の発言をして、ネットで騒ぎになったことがある。これが本当なら、歌詞のつぶやきで利用料を請求されかねない。

まず、歌詞をつぶやくのは個人で楽しんでいるだけだから問題ない、という認識は間違いだ。たしかに著作権法では、私的使用のための複製が認められている(第30条)。しかしツイッターは一般のブログと同じく公共の場への発信であり、私的使用のための複製とはみなされない。

ただ、ツイッターが公共の場に発信するSNSだからといって、そこで歌詞をつぶやくことがただちに著作権法違反になるわけではない。まず考えなくてはいけないのは、つぶやいた内容が著作物かどうかという問題だ。歌詞は著作物にあたるが、その中の短いフレーズには著作権が認められていない。たとえば「ありのままの」というフレーズまで著作権を認めると、歌詞と関係ない別の文脈においても、その言葉を許可なく使えなくなるからだ。

しかし、JASRACの見解は少々違うようだ。著作権問題に詳しい米国弁護士の城所岩生氏は、次のように話す。

「JASRACは、短いフレーズでも特定の曲を連想させるなら著作物になりうるという見解です。つまり映画のヒット前なら『ありのままの』というフレーズは著作物ではないが、いまなら前後関係から主題歌を連想させるようだと、著作物になるという判断のようです」