男と同じように指導していいのか、どうしたら成果を出してくれるか。「先進企業の管理職たちが」女性マネジメントのコツを伝授する。

「長時間の人にいい評価」はもうやめる
日産自動車●大隅裕之さん

PIXTA=写真

1990年代までの日産は長時間働く人を評価していたと思いますが、外資系になったいまは違います。

横浜の本社にも外国人がたくさん働いていますが、彼らはほとんど残業しません。定時になったらすぐに帰ります。その時点で80点の成果ならいい、ということです。あと4時間頑張って22時までやったら88点になるかもしれないけれど、その8点は頑張っても意味がないということです。

最近は長時間だらだら仕事をしている人は逆に上司から怒られます。自分だけではなく、部下にもそういうワークスタイルを強いている課長や部長も、なぜあなたの部下の残業時間はこんなに長いのか、と人事からチクリといきます。アウトプットに対してかけた時間が長すぎるとなれば、生産性が低いということ。日産ではこれを評価しないようになっています。

人事的な話をすると、評価といっても2種類があります。1つはその年度に会社、つまり上司と話し合って決めた目標の達成度合いに関するパフォーマンス評価であり、もう1つは昇進や昇格(場合によっては降格)に関係するプロモーション評価です。

育児期間中はどうしても勤務時間が短くなりますから、達成目標も小さくなります。たとえ100%達成できたとしても、フルタイムで80%達成の人と比べると、そもそも目標が小さいわけですから、パフォーマンス評価が下がっても致し方がない。それは本人も納得しているはずです。

でも、それとプロモーション評価を混同させてはいけません。プロモーション評価とは、スタッフが課長になって、課長が部長になってしかるべき業績が挙げられるかという、本人の潜在能力を見る長期評価なのですから。

日産は両者をしっかり分けています。来年から育児休業に入る予定の社員がいたとします。今日時点で、会社がそのポテンシャルがあると判断し、かつ本人にもその意向があれば管理職昇格試験を受けてもらいます。みごと受かったら育休明けに課長になれるわけで、その嬉しさを抱きつつ育児に励んでもらう。駄目だったら、復帰後に再挑戦してもらえばいいんです。

いま時短で働いていても、その人が時短を取らずに働いた場合どれくらいパフォーマンスを発揮するかで、昇格試験を受けてもらうかどうかを考えています。

大隅裕之●日産自動車
人事本部グローバルタレントマネジメント部キャリアコーチ
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