男と同じように指導していいのか、どうしたら成果を出してくれるか。「先進企業の管理職たちが」女性マネジメントのコツを伝授する。

「かたまり仕事」でこそ成果が出る
日産自動車●大隅裕之さん

PIXTA=写真

経験から言うと、男性より女性のほうが真面目で責任感の強い人が多いですね。仕事に対して執着心が強く、ちょっとやそっとでは諦めません。そういう特徴を持つ女性に対しては、詳しい説明もなく「ちょっとこれやってくれる?」という依頼の仕方は厳禁です。

そうではなく、仕事の背景や期待値、そして納期をしっかり説明し、小分けにはせず、ある程度のかたまりで仕事を与えることが肝心です。どこの部署と調整してもいいから、とにかく最善策を考えてくれ、期間は1週間。こういう形で裁量性の高い仕事を依頼すると、できる女性ほど燃えます。

逆に男性は上司が仕事の背景や期待値をろくすっぽ説明せず、「ちょっとこれやってくれるかな」と依頼をしても、「まあやるか」というタイプが多い。良くも悪くも長いものに巻かれてしまうわけですが、女性は巻かれませんよ。

それなら女性のほうが圧倒的に仕事ができるかというと、そうとも限りません。責任感の強さの裏返しなのか、変に肩に力が入ってしまい、自然体で仕事ができないマネジャーも多いのです。部下や周囲に弱みを見せたくない、女性マネジャーだからこそ自分の弱点を隠したいという気持ちが働くのでしょう。本人の意識はそうでなくても、周りがプレッシャーを与えてしまっていることもあるかもしれません。

こういうタイプの女性に対して、私は「いつもではだめだけど、たまには部下に弱みを見せたり、ここがわからないから教えてちょうだい、と聞いたりしたほうがお互いの距離が縮まり、あなたも自然体になれる。スポーツと同じで、自然体が一番力が発揮できますよ」とアドバイスしています。

大隅裕之●日産自動車
人事本部グローバルタレントマネジメント部キャリアコーチ
「女性管理職比率は8年で4倍」