直感力は女性のほうが鋭い
日産自動車●大隅裕之さん

入社以来35年間、かなりの数の女性の部下を持った経験があり、ここ数年はキャリアコーチとして、(こちらは男女問わずですが)将来の経営幹部候補発掘のため、年間何百人ものマネジャーと面談をしてきました。

その経験から言うと、向く仕事は男女差よりも個人差のほうが圧倒的に大きい。男性は理性的だから分析や提案をする仕事が向いている、女性は感情豊かだから人と接したり、何かをつくり出したりする仕事がいい、というのは俗説にすぎません。

ただ、商品企画を担当していたとき、女性は男性よりも直感力に優れているという印象を持ちました。たとえば、ある新商品の企画があったとします。女性はそれに対して間髪入れず、「それは売れません」、逆に「絶対売れます」という結論をまず述べ、その後にそれを裏付ける情報やデータを集める傾向がありました。男性はその逆で、情報やデータを集め、それらを分析、総合してから結論を出す。

どちらがいい、悪いではありません。結果的に、女性のすばやい判断が間違っていたことも、逆に男性の慎重な判断が間違っていたこともあります。

というのも男性と女性とで脳の構造が違うからだそうです。人間が会話をする場合、男性は左脳のみが働くのに対して、女性は左右の脳がバランスよく働く。それが直感力の鋭さにつながっているらしいのです。

日産では管理職向けにダイバーシティ研修を行っているのですが、その中でこうした脳の構造をはじめ、男女の生物学的な違いも教えています。それを踏まえて、男性部下、女性部下をどうやってマネジメントしていけばいいかを考えてもらっています。

大隅裕之●日産自動車
人事本部グローバルタレントマネジメント部キャリアコーチ

「女性管理職比率は8年で4倍」
(荻野進介=構成 市来朋久=撮影 PIXTA=写真)
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