ゴーン社長の役員報酬は9億9500万円!
「やっとゴーン社長も昔から日本人が大切にしてきた”奥ゆかしさ”を学んだようだ」――。
6月24日、横浜市のパシフィコ横浜で開かれた日産自動車の定時株主総会に出席していた年配の株主からは、こんな皮肉っぽい感想が聞こえてきた。
この日、株主総会で明らかにしたカルロス・ゴーン社長の2014年3月期の役員報酬は9億9500万円。前年の9億8800万円より700万円の増加だった。700万円といえば、中堅サラリーマンの平均年収だが、毎年巨額の報酬をゲットしているゴーン社長にとってはわずか0.7%の微増である。
同社の14年3月期連結決算は、売上高が前年同期比20%増の10兆4825億円、営業利益が14%増の4983億円、純利益が4%増の3890億円だった。トヨタ自動車など軒並み過去最高の好決算だったライバルから比べると、日産は期中で業績予想を下方修正するなど「真の実力を反映したものではなかった」(ゴーン社長)ともいえる。
それでも、ゴーン社長の報酬は株主配当が無配に転落した10年3月期でも8億9100万円、その翌年の11年3月期に9億8200万円、さらに12年3月期には9億8700万円と毎年右肩上がりで増えていた。その流れからすれば、今回は当然、10億円の大台に乗ることも夢ではなく、気が早いメディアの中には「ゴーン報酬10億円突破?」という記事も独り歩きするほどだった。
ところが、いざふたを開けてみると、10億円の大台には500万円ほど足りなかった。実はゴーン社長にしてみれば、そのわずかな金額を欲張って多く受け取るかどうかで、株主の心証を害するかどうかの分かれ道でもあった。
現に今回の総会でも株主から「今までの業績、経営手腕は認めるが、1人で10億円というのは国内の同業他社の役員と比べて多過ぎる」との質問を浴びせられた。
その質問に対してゴーン社長は「もらいすぎじゃないかという人もいる。たしかに他社の日本のCEOと比べると高い。ただ、GM、フォード、ダイムラーなどの海外の競合他社と比べれば高いわけではない」と説明。まるで、10億円を超えるのは当然だが、「控えめにしておいた」とでも言わんばかりである。