悪質な投資マンション勧誘は「独身高給取り」がターゲット

「家賃収入は老後の年金の足しになる」――日本経済が好調といわれるなか、多くの人が投資への関心を示しているが、働き盛り世代が気をつけたいものに、投資用マンションの勧誘がある。

マンションの購入金額は高いために、販売員らがターゲットにするのは、それなりに貯金を持ち、高額なローンを組めるビジネスマンやOLである。そこで、販売員らはこうした年収の高い人たちとのつながりを持つために、彼らが闊歩していそうなオフィス街で名刺交換をもちかける。ゲリラ営業だが、これに引っかかる人が案外多い。

私も以前に路上で20代男性と名刺交換に応じたことがあるが(そういう勧誘にあえて乗ってみるというテーマで取材していた)、そのしつこさは尋常ではなかった。名刺交換をするや否や、男はおもむろに聞いてきた。

「投資マンションには興味がありますか?」
「まあ、そうですね」(曖昧に返事)
「もし、ご興味がおありなら、詳しい説明をさせていただけませんか」
「……」
「明日はいかがでしょうか」

あまりの性急さに戸惑いながらも、了解すると、今度はこう尋ねてきた。

「年収はおいくらでしょうか」

話を聞けば、マンション購入にはローンを組む必要があるので、それなりの年収が必要だというのだ。しかし見ず知らずの人が数多く往来する路上で、個人情報である年収を聞き出そうとは大胆不敵かつ失礼千万。

答えずにいると、「500万円以上ですか」と具体的な数字をあげてくる。そこで「まあね」と、ぼやかした返事をして何とか、その場をやり過ごした。

しかし、その日の夜にも男からケータイに電話があり、私の仕事の状況などを根掘り葉掘り聞き出そうとしてくる。取材目的とはいえ、あまりにもしつこい行動に嫌気がさして、明日の会う約束を取り消したのだった。

幸い、私が渡したのが、携帯番号だけを記した個人用の名刺だったので、その後に電話がかかってきても、居留守を使って出ないことで勧誘を諦めさせることができたが、もしこれが職場への直通番号の載る名刺だった場合、しつような勧誘電話がかかり、かなり迷惑したにちがいない。

ひどい過去の事例には、本人が職場に不在でも、電話に出た全く知らない人にも勧誘を始めてしまい、フロアーにいる全員が迷惑するといったこともある。