ギャンブル詐欺商法にみる、相手にこちらの話を聞かせるためのテクニック
電話などで架空の儲け話を持ちかけて、金を騙し取る詐欺被害が続発している。今回はギャンブル系の投資話をもちかける“ワル”のケースを取り上げたい。
近頃、70歳の女性が、競馬情報を提供する業者から「すでにレースの着順が決まっている八百長レースがあります」という話を持ち掛けられて、情報料金として合計250万円をだまし取られる事件が起きた。
70代男性は業者から「競馬レースに投資するシステムに参加してみませんか」と何度も電話がかかり、手数料の名目で、繰り返し金を送り200万円を搾取されたとのニュースが報道されている。
競馬などはギャンブルであるにもかかわらず、「競馬レースには、必ず勝てる情報がある」という、にわかには信じられないような話を、詐欺業者はどうやって相手に信じさせていくのだろうか。
私は競馬の勝ち馬情報を教えてくれるという業者のサイトに会員登録したことがある。登録の翌日から、業者の男から頻繁に電話があった。
「あなたに競馬で稼ぐために伝えたい大切なことが、3つあります」
電話口の男は最初にそう切り出した。それは何なのかと尋ねると、
「それについては、明日お電話します。楽しみにしていてください」
ずいぶんともったいぶった話し方で、電話を切った。
果たして、「稼ぐための3つのこと」とは何であろうか。そんなもの本当にあるのか。怪しい。実に怪しい。けれど、心の中には、「もしかしたら」と思っている自分もいる。
男は翌日、電話でそれが何かを話してくれた。
「1つ目は、競走馬を育成しているAグループの存在です。このグループが育成した馬は、競走馬として数多くレースに出場しており、このグループが主導する仕込みレースが年間、いくつかあるのです」
それは「やらせのレースがあるってことですか?」と尋ねると、いい質問をしますね、といった間の取り方で先方はこう立て板に水のトークを展開した。