年金は……

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現役世代にはプラスでも年金生活者には大打撃!

小泉内閣時代、唯一無傷だったのは公的年金を受け取っている高齢者層だった。公的年金には持続可能な年金財政とするために、04年に導入された「マクロ経済スライド」という仕組みがある。年金を支える現役世代の減少と平均寿命の伸長には、給付の削減で対応するということ。森永氏によれば「毎年0.9%ずつ給付を削減していかなければならないのに、デフレが続いたため、マクロ経済スライドは一度も発動されないまま9年間が経過してしまった。つまり現在の年金給付額は本来の設計水準よりも8.1%ほど高い水準にあるのです」。

さらに物価が下落したにもかかわらず特例で年金額を据えおいた物価スライド特例分が2.5%あるため、合計で11%程度の歪みがある。そのため、「物価が2%上がっても年金額が増えない状況が十数年続くのではないか」。

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デフレとインフレでは正反対のことが起きる

最終的には年金の実質的な価値は「3分の2程度になる」というのが森永氏の試算だ。支給年齢の引き上げも検討されている。社会保障制度改革国民会議最終報告書は66歳以上に上げることを中長期的な課題としているが、社会保険労務士の井戸美枝氏は、高齢者が働ける体制を整える必要があるので「68歳までの引き上げが限度でしょう。その後は年金額の削減で対応することになりそう」。最悪3割削減も想定すべきだという。

「年金が減ること、リストラのリスクが高まることを考慮すれば、老後資金は貯められるだけ貯めておいたほうがいい。とはいえ貯蓄には限度があるので貧困生活に陥らない最低ラインとして1500万円は確保したい。それを取り崩しながら生活レベルを維持するのです」と森永氏。

ただ、「給料は働く側の裁量で増やすことができないので、インフレの時代には投資を考えることも必要」とFPの深野康彦氏はアドバイスする。

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