中華料理店に「東北出身者」が多いワケ
しかし、そもそも不思議に思うのは、ガチ中華のコックになぜ東北出身者が多いのか、という点だ。統計などはなくデータで示すことはできないが、ひとつの指標として、法務省の在留外国人統計がある。同統計で2011年までは「都道府県別 本籍地別 外国人登録者数」を公表しており、それによると、在日中国人の出身地で最も多いのは東北部の遼寧省だった。次が同じ東北部の黒龍江省、3番目が南部の福建省という順だった。
しかし、外国人登録証が在留カードに統一されたことに伴い、本籍地情報が取得できなくなり、統計発表はなくなった。そのため、在日中国人の詳細な出身地はわからなくなったのだ。
2011年からすでに15年も経過しているので、現在の在日中国人の出身地は、当時とはかなり異なっている可能性もある。だが、東京・池袋に90年代や2000年代初頭にオープンし、現在も続いている「永利」「楽楽屋」などの有名中華料理店の多くは東北料理を中心とした店だ。それは、当時来日した中国人の多くが東北出身者であることと無関係ではないだろう。
日本人にはわからない「違和感」
よく知られているように、東北部は旧満州で、日本との縁が深い。中国残留日本人孤児の親族として来日し、そのまま日本に定住している中国人も多い。彼らの一部は飲食店で働き始め、その流れが今日まで続いている。20代の中国人の知人も遼寧省瀋陽市の出身だが、池袋の中華料理店で働く両親から呼び寄せられ、高校時代に来日した。以前取材したことがある埼玉県川口市の中国人向け日本語塾でも、学生に出身地を聞いてみると、東北地方か福建省のどちらかしかいなかった。
同じ省の人が日本にいると、その人を頼って知人や親戚も芋づる式にやってくることが多いため、現在も在日中国人には東北出身者が多いのかもしれない。繰り返すが、東北地方出身のコックだからといって、別のジャンルの中華料理がおいしくないというわけではない。味覚には個人差があり、一概には言えない。ただ、中国から来日したガチの中国人からすると、違和感を覚えるのが日本のガチ中華なのだろうと改めて思ったのだった。
検索時にプレジデントオンラインに関連する記事が表示されます

