再生回数を稼げば売れるわけではない
初期の段階で素人のライバーが登場してもいいが、いずれは外注のプロのライバーに依頼したほうが、商品はバカ売れしそうである。この意見に対して、高松社長は「“バズらせる”と“売れる”を誤解している人が多い」と注意喚起する。
「再生回数が稼げることと、ライブ配信で売れることは、まったくの別物なんです。多くの人がゲームの実況中継やアイドルの投げ銭と勘違いして、たくさんの人に見られれば売れると思い込んでいます。しかし、たくさんの人に見られる動画と商品を買ってもらえる動画はコンテンツの構成が根本から違います。フォロワー数や再生回数をチェックしながら、自分たちでライバーを見つけることもできますが、やはり売れるかどうかの判断は、私たちのようなTikTok Shopの運営を熟知した専門家に手配してもらったほうが確実だと思います」
ライバーを確保しながら、原価率を抑えて広告費も投資するとなると、Amazonや楽天市場よりも運営の難易度が高いといえる。ネットショップ運営の高いスキルと商品力が問われるTikTok Shopで、勝ち抜くための秘訣を高松社長に聞いてみた。
動画を量産できる体制がないと難しい
「TikTok Shopを見て、実際に商品を購入する人は2割ぐらいと言われています。残りの8割はライブ配信やショート動画を見て、外部のサイトで購入しているのが現状です。つまり、TikTokの拡散力を利用して商品の認知度を上げて、自社サイトやAmazonなどで商品を買ってもらえる仕組みを作り上げることが、“TikTok売れ”の本質だったりします。
極論を言えば、コストのかかるライブ配信よりも、演者が不要で利益率の高い商品紹介のショート動画を量産し、そこに広告をかけて外部のサイトに集客する流れを作ることのほうが、TikTok Shopの正しい売り方になると思っています」
TikTok Shopの“ライブ配信”という真新しい言葉に目が行きやすいが、実際のビジネスモデルは、TikTok内の「ショート動画による広告宣伝」と捉えたほうが、正しい解釈といえそうである。
当初、「TikTok Shopは売れない」と思っていたが、取材を通じて、「TikTok Shopは売れる」という考えに変わった。
しかし、売れるためには、従来のネットショップ運営に必要な「商品力」「商品ページ」「広告費」の3点セットが必要であり、ここにショート動画を量産できるチーム体制を整えなければ、TikTok Shopで利益を出すことは難しいといえる。
そのような盤石の体制が築けるのは、ネットショップの中でも一握りの売り上げトップ店舗に限られるし、知名度やブランド力のある企業でなければ、衝動買いを起こさせるのは至難の業といってもいい。

