広告がなければ“視聴者ゼロ”の可能性も

買う気のないお客を買う気にさせるためには、やはり演者となるライバーの力が重要になるのか。その点を高松社長に聞くと「ライバーよりも利益率のほうが圧倒的に大事」と断言する。

「TikTok Shopは売るための“工数”が他のEC事業よりも多くなってしまうんです。ライブ配信には物理的な時間が取られますし、ライバーに支払う人件費も発生します。ショート動画を量産して広告を打って認知度を上げていかなければ、ライブ配信の視聴者を増やすこともできません。

他にもプラットフォームへの手数料や送料、カスタマーサポートの費用などを考えると、原価率が30%以下でなければ、TikTok Shopの運営は厳しいと思います」

特に最近のTikTok Shopで重くのしかかってくるのが広告費だ。以前は競合も少なかったので、ライブ配信さえすればユーザーの目に触れやすかった。しかし、今ではTikTok Shop内の広告を使わなければ、他のライブ配信に埋もれてしまい、“視聴者ゼロ”という事態にもなりかねない。

成功には配信体制の充実と予算が不可欠
撮影=竹内謙礼
成功には配信体制の充実と予算が不可欠

配信すればするほど赤字の店も

「ライブ配信をやればやるほど赤字になるネットショップも少なくありません。そうならないためにも、最初はその商品を販売する社長や、開発スタッフなどがライバーとして登場し、できるだけコストを抑えた運営を心がける必要があります。実際に商品の開発や販売に携わっている人のほうが熱を込めて商品の良さを語れますし、そういう生々しいライブ配信のほうが、ファンがついて、コンスタントに売れる傾向にあります」

社内のライバーでライブ配信の試行錯誤を繰り返し、売り上げが作れるようになったタイミングで外部の代理店や外部クリエイターに予算を投じるのが、TikTok Shopの必勝パターンのようである。

そのようなプロセスを踏んで、商品を一度でも購入してもらえれば、あとはTikTok Shopの強力なレコメンド機能で、ユーザーのところには繰り返しライブ配信やショート動画が表示されるようになる。商品力さえあれば、リピート購入させることはメルマガやLINEよりも容易といえる。

一方、1回の放送で2時間ぐらいの尺が必要で、週3回ぐらいのライブ配信が理想ということなので、社内で本気でTikTok Shopに取り組む体制と予算の確保がなければ、成功までの道筋は作りにくいといえる。