期待を集める理由は業界の「閉塞感」
もちろん、商材によってはライブ配信と相性のいいものもあるかもしれないが、少なくとも、おいそれと誰でも構わず、「TikTok Shopは売れますよ」とおすすめできるような売場ではないというのが、取材をした率直な感想である。
それでも、周囲でTikTok Shopに期待を寄せる人が絶えないのは、EC業界全体に漂っている閉塞感から来ているのではないか。
経済産業省が発表した「令和7年度電子商取引に関する市場調査」によると、2025年の物販系分野のBtoC-EC市場規模は15兆8233億円で、前年比3.97%増とほぼ横ばいとなっており、市場の成長は明らかに鈍化している。
インフレの影響でモール内の価格競争は以前よりも激化し、値上げしたとたんに商品が売れなくなるのは日常茶飯事だ。広告費の高騰に加えて、先月には楽天市場が月額プランで約4割の値上げの発表もあって、ネットショップを取り巻く環境は厳しさを増している。
「アマゾンがダメならTikTok」はNG
そのような状況下で、TikTok Shopという新しい売り方に、希望を見いだすネットショップが出てきてしまうのは、致し方ないといえる。
同時に、EC事業を支援するマーケティング会社、コンサルタント会社、広告代理店などが、こぞってTikTok Shopのセミナーやライバーの教育事業などを展開し、相手のネットショップの実力を無視して「TikTok Shopは売れますよ」と期待を持たせてしまうのは、ある意味、業界全体の“苦しさ”の表れといえるのではないだろうか。
TikTok Shopは「売れる」かもしれないが、それはごく一部の「総合力」のあるネットショップに限られる。Amazonや楽天市場で「売れない」からといって、「じゃあ、TikTok Shopで売りましょう」という安易なスイッチングで成功するはずもなく、実力のないネットショップは“ライブ配信”という言葉に踊らされて、チャンスすらつかめずに終わってしまう可能性がある。
そう考えれば、TikTok Shopの登場は、新たなネットショップの売り方が生まれたのではなく、EC業界の新たな二極化が始まっただけなのかもしれない。
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