家賃が下がり続けていた背景
そもそも、2000年ごろから2020年ごろまで、家賃が緩やかに下がり続けてきたのには理由がある。
ひとつは経済がデフレだったことで、もうひとつは、1981年、2000年と建築基準が段階的に強化され、そのたびに既存の住宅の品質が相対的に下がる「陳腐化」が起きてきたことだ。
新しい基準の住宅が出るたびに古い住宅は見劣りし、築年数とともに家賃が大きく下がっていった。
ところが2000年以降は、こうした大きな陳腐化は起きていない。2025年4月からは新築住宅の省エネ基準への適合が義務化されたが、耐震基準の変更ほど大きな品質差を生むものではない。
品質も十分に高いため、少し古くなったからといって家賃が大きく下がることはなくなった。そこにインフレが重なり、いまは築年数の経った物件の家賃まで上がっている。
東京23区では、マンションもアパートも募集家賃が過去最高の水準にある。
家賃が上がる世界では、借り続けることのコストも上がっていく。「借りたほうが安い」という前提そのものが、デフレと陳腐化の時代の産物だったのである。
未来は誰にも予測できない
強調したいのは、金利も景気も、未来は誰にも予測できない、ということだ。
であれば、家を買うかどうかの判断も、未来予測を前提にすべきではない。
今、買えて、住宅ローンを借りても返せると思えば、買えばいいし、そうでなければ買わなくてもよい。
家が欲しい、必要だと思えば、買える範囲の家を買えばいいし、欲しくなければ買わなくてもよい。
ことさら理由を付けて、持ち家を否定する必要もない。
注意が必要なのは、将来の金利や価格の予測に基づく損得を判断の基準にすることだ。未来は誰にも分からない。
ただし、一つだけ確実なことがある。それは、人生はとても長い、ということだ。
日本人の平均寿命は男性で81歳、女性で87歳であり、30歳の時に35年ローンを借りて65歳で返し終わっても、その後の平均余命を考えれば、配偶者が年下なら30年近くの間、住む場所が必要になる。
この時、年金生活で家賃を払い続けられる保証はない。年金の水準は、住居費のかからない持ち家での暮らしを暗黙の前提にしているといってよい。実際、65歳以上の8割以上が持ち家に住んでいる。
予測できない未来に備える、という意味では、買えるのであれば家はいつでも買い時なのだ。
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