固定金利における“保険料”が高くなった
いずれ金利が上がるなら、金利上昇のリスクがない固定金利が有利だが、人間には現状が続くと感じるという、いわゆる正常性バイアスがあり、金利が上がると思っていても、それほど大きくは上がらないだろうと考え、目先の返済額の低さを優先して変動金利を選ぶ人が多い。
住宅金融支援機構の調査では2025年度上期に借り入れた人のうち、今後1年間で金利が上昇する、と見ている人は73.7%もいたのに、変動型を選んだ人は75.0%もいることがそれを示している。
今にして思えば、2025年時点では、フラット35が2%以下だったので、変動金利との差が1%以上あったとしても、今後のさらなる金利上昇を考えれば、固定金利のほうが良かったということになる可能性もある。
固定金利と変動金利の差、すなわち金利に対する“保険料”が1%程度なら、固定金利を選ぶ人も一定数いるだろうが、現状のようにその差が2%以上と大きくなれば、毎月の支払い額の差はそれなりにあるため固定金利を選びにくくなる。
2%以上もの“保険料”を払ってでも固定金利にする、というのは、今後猛烈な金利上昇が起きる、ということを前提にすることになるが、それに賭けられる人は多くはないだろう。この状況で変動金利を選ぶのは、バイアスというより、合理的な判断でもあるのだ。
金利に「天井」がある可能性
金利がいつ、いくらになるかという「点」の予測はできなくても、金利が動ける「範囲」には構造的な制約がある可能性がある。制度と財政の仕組みから導かれる話であり、鍵になるのは「金融抑圧」という考え方だ。
金融抑圧とは、政府が金利を物価上昇率より低く抑え込むことで、実質的に政府債務を減らしていく政策のことで、第二次世界大戦後の米英は、この方法で巨額の戦時債務を目減りさせたとされる。
金利を上げずに物価を上げれば、名目の借金は変わらなくても、経済規模に対する借金の重さは軽くなっていく。
GDPの2倍を超える政府債務を抱える日本は、まさにこの道を進んでいるのかもしれない。
財務省の試算でも、金利上昇によって国債の利払い費は2029年度に21.6兆円と、2026年度の約7割増に膨らむ見通しで、金利が上がれば上がるほど、その負担は政府自身に跳ね返ってくる。
だとすれば、政府には、長期金利を利払いに耐えられる水準に抑え込もうとする強い動機が働くことになる。金利については、こうした可能性も考慮したい。

