アルトマンを解任しようとした男は…
アルトマンやイーロン・マスクと並ぶOpenAI創設メンバーのイリヤ・サツケバーは、深層学習の歴史的ブレークスルーに数多くかかわってきた研究者である。ジェフリー・ヒントンと共同開発し、画像認識で圧倒的な成績を叩きだした「AlexNet」、LLMの祖先ともいえるニューラルネットワークのしくみ「sequence to sequence(系列変換)」、GPTシリーズの初期開発など、現代AIの基盤をつくった主要な仕事の多くで多大な貢献を果たしてきた。
彼はOpenAIで2023年に起きたアルトマン解任騒動(CEOのアルトマンが取締役会から一時的に解任された事件)で中心的役割を果たしたのち、独立して「安全な超知能」の開発を専門とするスタートアップ「Safe Superintelligence Inc.」を立ち上げた。
彼の世界観では、ASIの実現は近く、しかしその安全性確保はきわめて困難な課題である。だからこそ、安全性を専門に追求する組織を設立したというわけだ。サツケバーの動向は、アモデイのアンソロピック設立と並んで、AGI企業の内部にいた重要人物が安全性への懸念から独立するという象徴的な事例となっている。
イーロン・マスクもOpenAI創業者
テスラやスペースXの創業者として著名なイーロン・マスクは、2015年にOpenAI共同創業者のひとりとなったが、その後離脱して独自に「xAI」を設立した。彼はAIによる存亡リスクを早くから懸念してきた人物としても知られており、p(doom)を10~20%程度と見積もっている。
タイムラインも短く、「2020年代後半までにAGIが実現しうる」と公言するとともに、xAI、テスラ・ロボティクス、スペースXを統合的に運営することによって、AI開発・ロボット製造・宇宙進出を同時に追求している。AGIのリスクを強く認識しつつも、レースから降りず、みずから開発の最前線に立つという戦略をとっているといえる。


