肺炎で亡くなる人の9割は65歳以上

カナダには、「肺炎は老人の友(Old man’s friend)」という言葉がある。しかし、友人の中でも付き合いたくない「悪友」である。「悪友」で死ぬ人の97.5%は65歳以上の高齢者である(※6)。いくつになっても悪友がいるのだ。「悪友」と縁を切るために、65歳以上の人は1回ワクチンを接種してほしい。費用の一部は自治体が負担してくれるはずだ。

※6  厚生労働省「人口動態調査(確定数)2024年、上巻5-15『死因(死因年次推移分類)別にみた性・年齢(5歳階級)・年次別死亡数及び死亡率(人口10万対)07肺炎』」

肺炎の中でも誤嚥性肺炎は、特に老人に多い。その理由は、のどの構造の設計ミスによる。口から食べたものを食道に送るルートと、鼻から吸った空気を肺に送るルートはのどで交差している(図表3)。

【図表3】空気と食べ物の通り道
鼻からの空気と口からの食べ物はのどの奥で交差する。普段は、交差点の反射系が二つの経路を間違えないように交通整理をしているのだが、歳をとると反射が鈍くなり、食べ物が肺に入るようになり、誤嚥性肺炎となる。出所=『高齢者よ、君たちはどう生きるか』(幻冬舎新書)

二つのルートを交差させるなんて設計ミスであるが、普通は交差点に信号係がいて、肺には食べたものが入らないように「ふた」をする。

高齢者がもちをのどに詰まらせる理由

空気が食道に入ってもゲップが出るだけだが、歳をとると反射神経が鈍くなり、食べ物が肺に入り、誤嚥性肺炎となるのだ。老人が餅をのどに詰まらせて死ぬのも、誤嚥された柔らかい餅が空気の通るのを止めてしまうためである。このときは、肺炎でなく突然死となる。

嚥下障害を有する高齢者
写真=iStock.com/kazuma seki
※写真はイメージです

ただし、あかちゃんは交差点が上のほうにあるため、二つの経路は交差せず、ミルクを飲みながら呼吸ができる。次の短歌がそのことを詠っている。

肩で息をしながら乳を飲む子には世界のすべてがまだ大きすぎる(※7) 南澤友絵

※7 南澤友絵、朝日歌壇、2005年12月26日

誤嚥性肺炎にならないためにはどうしたらよいだろうか。

まず、急いで、吸い込むように食べないことである。食糧難の時代に育った私は、急いで食べる癖があって、いつも医師の娘から注意される。そして、のどの筋トレをすることである。筋トレ法は、西山耕一郎『誤嚥性肺炎で死にたくなければのど筋トレしなさい(※8)』に詳しい。

※8 西山耕一郎『誤嚥性肺炎で死にたくなければのど筋トレしなさい』幻冬舎新書、2020年