「運動後のストレッチ」の効果を研究したところ…

「筋トレ後はストレッチが必須」――そう信じて、ジムのマットエリアで時間を過ごしている人は多いでしょう。筋肉痛の予防、柔軟性の維持、疲労回復……。その効果を疑う人はほとんどいません。

準備運動で足を伸ばすアスリート
写真=iStock.com/waragon injan
※写真はイメージです

しかし科学の世界では、その常識はすでに過去のものになりつつあります。

2021年の大規模な研究に続き、2025年に発表された最新のメタアナリシスまでもが、私たちが信じてきた習慣に対して「No」を突きつけました。

今回は、これらの決定的なエビデンスをもとに、筋トレ後の静的ストレッチの「本当の効果」について解説します。

まず、2021年にポルト大学のアフォンソらが発表したメタアナリシスでは、「ストレッチをしても、ただ休んでいる場合と比べて回復効果に差はない」という衝撃的な結論が出されました。

そして2025年、中国のジャンらがさらに新しい研究を含めたメタアナリシスを発表し、この事実を決定的なものにしました。彼らは、筋トレ後のストレッチが以下の項目に与える影響を検証しました。

● 筋肉痛(DOMS)の軽減
● 筋力の回復
● パフォーマンス(ジャンプ力など)
● 柔軟性(関節可動域)の回復
● 痛みの閾値(痛みへの耐性)

筋肉痛は減らない、回復量も変わらない

残念ながら、すべての項目において統計的に有意な効果はないという結果になりました。

筋トレ後の静的ストレッチングによる効果
出所=『科学的に正しい筋トレ大全』(KADOKAWA)

筋肉痛は減らない

ストレッチをしても、何もしない(休息)場合と比べて筋肉痛の程度は変わりませんでした(効果量−0.06)。

筋力は戻らない

疲労した筋力の回復スピードも、ストレッチの有無で差はありませんでした(効果量0.27)。

パフォーマンスも変わらない

次のトレーニングや競技でのパフォーマンスにも、ポジティブな影響は見られませんでした(効果量0.18)。

柔軟性すら変わらない

驚くべきことに、トレーニング直後のストレッチは、翌日以降の関節可動域の回復にも寄与しませんでした(効果量−0.06)。

つまり、「一生懸命ストレッチをしても、ただ座ってスマホを見ているのと回復効果は変わらない」ということです。