筋トレは重いダンベルやバーベルを持ち上げることができないといけないのか。理学療法士でトレーナーの庵野拓将さんは「軽い重量の重りであっても、ある条件を満たせば重いものを持ち上げた時と同じだけ筋力をつけることができる」という――。

※本稿は、庵野拓将『科学的に正しい筋トレ大全』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。

女性フィットネスモデルの背面のクローズアップショット
写真=iStock.com/jacoblund
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筋トレ前に知っておくべき「方程式」

ひとくちに「筋トレ」と言っても、目的によってやるべきことは大きく異なります。スポーツ科学の分野では、筋トレの目的は大きく2つに分けられます。

●筋肉を大きくする(筋肥大):胸板を厚くする、腕を太くするなど「見た目」の変化
●筋力を強くする(筋力増強):重いものを持ち上げる、瞬発力を上げるなど「機能」の向上

「片方になんて決められない」「どちらも手に入れたい」という方がほとんどでしょう。

その場合、まずは筋肥大のアプローチから取り組むことをおすすめします。筋肉が大きくなれば、筋力の約半分は自然についてくるからです。

そして、ある程度筋肉がついてきたと感じたら、本稿後半で説明する筋力アップのアプローチを取り入れてください。その段階で初めて、筋力アップの効果をさらに引き出すことができます。

どちらのアプローチも、なんとなくダンベルを持ち上げるのではなく、筋肉が育つルールを「理論」として理解することで初めて機能します。その「方程式」を知れば、筋トレはゲームの攻略のように明確な道筋を持ったものになります。

まずは「筋肥大」から。筋肉が大きくなる仕組みを知っておくと、この後の話がぐっと理解しやすくなります。

筋肉の成長には筋タンパク質が欠かせない

筋肉は、数千から数十万本の筋線維が束になってできています。筋肥大とは、この1本1本の筋線維が太くなることで実現します。筋線維は、アクチンやミオシンといった筋タンパク質で構成されており、その合成によって太くなっていくのです。

つまり、筋肉を大きくするには、「筋タンパク質の合成量をどう増やすか」がポイントになります。

体の中では、筋タンパク質の合成と分解が常にくり返されています。普段はこのバランスが保たれていますが、筋トレを行って合成が分解を上回れば、筋肉が成長していきます。