筋トレで筋肉が「生成」されるプロセス

この合成をスタートさせるために重要なのが、細胞内にあるmTOR(エムトール)という筋肉合成のスイッチです。

筋トレによって筋肉に刺激が入ると、このmTORというスイッチが「ON」になり、タンパク質の合成が加速します。さらに、筋肉が本格的に成長していく過程では、リボソームという、タンパク質を作り出す「細胞内の工場」のような器官も増えていきます。

また、筋肉の周囲にはサテライト細胞(衛星細胞)という応援スタッフが待機しており、トレーニングを続けると彼らが新たな「核」として筋肉に取り込まれ、合成を高める指令を出す司令塔の役割を補強してくれます。

つまり、筋トレとは次のような作業なのです。

1.mTOR(スイッチ)を入れて、合成をスタートさせる
2.リボソーム(工場)を増やして、生産能力を高める
3.サテライト細胞(応援スタッフ)を取り込み、司令塔(核)を補強する

筋トレをくり返すことで、あなたの筋肉の中ではこうした内部的なアップグレードが着々と進んでいるのです。

「筋トレには重い重量が必須」が常識だったが…

では、どうすればこのスイッチを効率よく入れられるのでしょうか?

ここで重要になるのが、「サイズの原理」と呼ばれる神経の仕組みです。

筋肉を動かす神経と筋線維のセットを「運動単位」と呼びます。これには小さな運動単位(力は弱いが疲れにくい)と大きな運動単位(力は強いが疲れやすい)があります。ハーバード大学のヘンネマンらが提唱した「サイズの原理」によれば、筋肉は小さな運動単位から順に使われ、負荷が高まるにつれて大きな運動単位が動員されていくという性質があります。

● 軽い負荷:小さな運動単位しか使われない
● 重い負荷:小さな運動単位に加え、大きな運動単位まで動員される

この理論をもとに、これまでは「多くの筋線維(大きな運動単位)を使うには、高強度トレーニング(重い重量)が必須である」というのが常識とされてきました。

ダンベルでトレーニングをする男性
写真=iStock.com/Jacob Wackerhausen
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しかし近年、この常識が覆されました。軽い重量(低強度)であっても、ある条件を満たせば、高強度と同じように筋肥大することがわかってきたのです。