柴犬は服従性と愛着が低め

この結果にもとづいて犬種差をみていくと、やはり古代犬種と現代犬種では少し差がみられそうです。古代犬種としてはアラスカン・マラミュート、シベリアン・ハスキー、柴犬のデータが提供されています。アラスカン・マラミュートはヒトへの社交性、オモチャへの反応性、さらにヒトの指示への服従性が低い傾向がみられます。同じように、柴犬は服従性と愛着を求める傾向が低いようです。シベリアン・ハスキーは少し例外で、ヒトへの社交性とイヌへの社交性が高い傾向がみられました。ただし、服従性と愛着を求める傾向はほかの古代犬種と同じように低い結果でした。このことから、古代犬種は共通してヒトの指示への服従性が低いことがわかります。

全体的にみると、古代犬種は見知らぬ人物となかよく遊ぶタイプではなく、人間からの指示に服従する傾向も低めで、次に詳しくみていくように、愛着を求める傾向も低いようです。

餌を与えられる柴犬
写真=iStock.com/PonyWang
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柴犬は留守番で不安になりにくい

飼い主にとっては少し寂しい気がしますが、愛着が強いことは、見方を変えれば「飼い主への依存が強い」あるいは「飼い主と離れると不安に感じやすい」性格ともいえます。実際に、イヌを一頭で留守番させておくと不安を感じて過度に吠えたり、ものを壊したりするような行動は「分離不安」とよばれ、家庭犬においては少し困った問題です。これまでの調査によると、分離不安的な行動を示すイヌの割合は約20~40%に上るとされています。愛着行動をあまりみせない古代犬種は、むしろ分離不安になりづらい犬種とも考えられますが、本当にそうでしょうか。

ベランダの柵の向こう側にいる柴犬
写真=iStock.com/Adam Bartosik
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この考えは、C-BARQのデータから支持されています。C-BARQにはイヌの分離不安的な行動を評価するための「愛着と注目獲得行動」あるいは「分離関連行動」とよばれる下位尺度があります。麻布大学の研究チームは、日本とアメリカのイヌの飼い主のC-BARQの回答を解析し、犬種グループによる性格の違いを調べました。すると、古代犬種は「愛着と注目獲得行動」のスコアがほかのどの犬種グループよりも低いことがわかりました。