柴犬や秋田犬は「古代犬種」
代表的な古代犬種を図表2に示しました。古代犬といっても「いま」を生きているイヌです。具体的には、シベリアン・ハスキーやアラスカン・マラミュートやサモエドなどの北方アジアならびに北米原産犬種、秋田犬や柴犬、チャウ・チャウ、シャー・ペイなどの東アジア原産犬種、アフガン・ハウンドやサルーキ、バセンジーなどの中央から西アジアおよびアフリカ原産犬種、そしてディンゴやニューギニア・シンギング・ドッグといったオセアニア地域で再野生化した犬種が含まれます。
日本に暮らす私たちにとっては、いわゆる「和犬」が古代犬種であるという事実はぜひ知っておくとよいでしょう。
なかでも秋田犬と柴犬は海外でも有名で多くの人々に愛されています。
このように原産地域がバラバラなのにもかかわらず、古代犬種とよばれる一部の犬種は「オオカミらしい」という共通の遺伝的特徴をもっています。
古代DNAを解析した最近の研究から、古代犬種は現生オオカミの中での最近縁亜種であるタイリクオオカミと遺伝的に近いだけでなく、すでに絶滅した古代オオカミとも遺伝的な関係が近いことがわかっています。
また、柴犬や秋田犬といった日本犬も、絶滅したニホンオオカミと遺伝的に近い関係をもっています。これらの結果は、古代犬種がそれぞれの地域に生息していた古代オオカミやイヌの祖先をルーツにもつことを示しています。
プードルなど洋犬は現代犬種
一方、現代犬種について具体的な犬種名を挙げてみると、プードルやダックスフントといった日本での登録数が上位の人気犬種のほか、ジャーマン・シェパード、ラブラドール・リトリーバー、ボーダー・コリーなどのいわゆる「洋犬」の多くがこのグループに含まれます。
古代犬種はオオカミからイヌへの進化をつなぐ存在として、古代に生じたイヌの形質変化の名残をもっているのではないかと考えられます。


