「オモチャ箱」というより「びっくり箱」

株式のように商品性による分類ではなく、資金の出し手の性格による分類になっているようで、お気付きのように、非常に曖昧な概念なのです。

「銀行の融資ではない」「公募社債のように一般向けに販売されているものではない」という「~ではない」ものを総称して、なんとなく「プライベート」と呼んでいるというのがもっとも実態に近いと思います。

経済メディアでお馴染みのアナリストやストラテジストの方でさえ誤って捉えていると思われる発言をされていますし、そもそもの定義自体が曖昧な以上、説明が難しいのは確かです。

ノンバンクやファンドによる雑多な融資を、まるでオモチャ箱に放り込むようにこの「プライベートクレジット」という言葉で総称しているような印象さえ受けます。

「オモチャ箱」というよりむしろ「びっくり箱」と言ったほうが近いのかもしれません。

大手プライベートクレジット販売業者は、こうした融資を何百本も束ねて投資信託を組成し、年利10%という大きな利回りをつけて販売しています。融資先の数百社のうち、たとえ数社が破綻し、回収不能になったとしても、全体としてリスクを管理しているのだから、危険性は高くないというのです。

サブプライムローン危機とよく似ている

これに近い話を、どこかで聞いたことがないでしょうか。

そう、サブプライムローンと、その破綻がきっかけになって起きた金融危機とよく似ているのです。

収入が少なく信用力の低い人(プライムでない=サブプライム)向けの住宅取得資金貸し付け(ローン)債権を証券化し、RMBS(住宅ローン担保証券)という債券にして世界中の金融機関に売られていました。

売出し中のカンバンがある中古物件
写真=iStock.com/LifestyleVisuals
※写真はイメージです

これはCDO(Collateralized Debt Obligation=債務担保証券)の一種で、あのときも、それぞれの融資が回収不能になるデフォルトのリスクを管理し、全体として安全が保たれていると主張していましたが、いったん住宅価格の上昇が止まると逆回転を始め、CDO自体が不良債権化して世界中に危機をバラまきました。

先ほど引用したように、巨大ファンドのトップたちは異口同音に「リーマンショックのときとはまったく違う」と主張していますが、確かに、リーマンショックの引き金を引いたサブプライムローンと、プライベートクレジットの商品性はかなり違います。銀行の資本規制も当時に比べれば格段に厳しくなっており、あのときと同じようなパターンで危機に発展することはないと考えてよいでしょう。