※本稿は、yama『なぜ株の上手い人はIRセミナーに集まるのか』(星海社新書)の一部を再編集したものです。
「投資の裏技」に飛びついてはいけない
料理でも、下ごしらえをしっかりしているかどうかで、味が全く変わります。株式投資でも同じことが当てはまる、つまり、「下ごしらえ」次第でその結果が大きく変わるはずです。
それなのに、なぜ「下ごしらえ」がこれほどまでに雑に扱われてしまうのでしょうか。あくまで私の仮説ですが、投資本の場合、「読者の期待に応えようとするあまり、本当のことが見えにくくなってしまったから」だと考えています。
本当のこと、とは何か、もう少し具体的に説明してみます。
凄腕投資家の本を手に取る動機は、多くの場合、「何か自分にはないスペシャルな裏技的手法や着眼点と出会えるのではないか、そうすれば自分の資産も大きく増えるだろう」というほのかな期待でしょう。
これらの投資本を企画する編集者はそんな読者心理を汲み取っているので、「増配」や「高値ブレイク」といった、キャッチーな「得意技(裏技?)」をメインにした構成に仕立てていくのでしょう。
その結果、株式投資において「下ごしらえ」が極めて大事な基礎的事項である、という本当のことが驚くほど雑に扱われることになります。
一次情報=IR資料に直接触れることが重要
ちょっと極端なたとえかもしれませんが、編集者が著名な数学者に一般向けの本を執筆依頼する際「九九から始めてください」とお願いすることはあり得ません。そもそもそんな企画が採用されるはずがありません。
九九に相当する極めて基礎的な事項が「下ごしらえ」です。
では「下ごしらえ」とは何か。端的に言えば、一次情報、IR資料に直接触れることです。もちろん、IR資料に直接触れたからといって、「必ずある程度うまくいく」というわかりやすい効果効能はありません。
IR資料を元に買った銘柄だからといって株価が上がってくれるわけでもありません。さらに言うと、IR資料をしっかりと読んでみると「買わない」「買えない」という結論に辿り着くことが多くなります。

