年金基金、保険会社、政府系ファンドが抱えるリスク

プライベートクレジットを運営するノンバンクや、ファンドに対して資金を拠出しているのは、年金基金、保険会社、政府系ファンドなどが主で、特に保険会社が同分野への配分を増やしています。

いずれも長期投資志向で流動性ニーズの低い機関投資家で、相対的に高い利回りを求めてプライベートクレジットへの投資に傾斜していったのです。第3章で説明するジャンク・ボンドの取引でも、その主要な買い手は地域に密着した不動産金融の会社など、非常に保守的な運用をしていた機関投資家でした。

土屋剛俊『市場の爆弾 プライベートクレジットは破滅的金融危機の引き金を引くか』(講談社+α新書)
土屋剛俊『市場の爆弾 プライベートクレジットは破滅的金融危機の引き金を引くか』(講談社+α新書)

不動産向けローンも、生命保険も長期の資金を扱う点で共通しています。そうした長期投資志向の機関投資家には、ジャンク・ボンドやプライベートクレジットのような利回りの高い債券に対するニーズが常に強く存在しているのです。

また銀行も、厳しい規制下にあるからといってプライベートクレジットと完全に無縁とは言えません。

この章の冒頭で紹介した記事にあるように、銀行は直接プライベートクレジットのような形の融資をすることはなくても、プライベートクレジットを運用するファンドや、BDCと呼ばれるプライベートクレジットへの融資を会社組織にした法人などを通じて間接的に資金を投じるようになっています。

さらに、個人投資家に対する波及も心配されています。

2023年ごろから個人向けのプライベートクレジット商品が一般化し、広く販売されるようになりました。

すでにプライベートクレジットは金融界に広く埋め込まれていると言ってもいいのです。

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