最新の人工知能(AI)モデルが2026年1月の大学入学共通テスト15科目に挑戦したところ、平均得点率96.9%を記録した。一橋大学名誉教授の野口悠紀雄さんは「AIが代替できる能力と、そうでない能力を峻別し、試験や講義の在り方の再設計が必要だ」という――。(第2回/全5回)

※本稿は、野口悠紀雄『AIは最強の味方で、最悪の敵』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。

AIの共通テストの結果は「圧倒的」

オープンAI(OpenAI)のモデル「GPT-5.2 Thinking」に2026年度大学入学共通テスト15科目を解かせたところ、得点率が96.9%に達した。9科目で満点。受験生平均との差は約39ポイントにも及んだ。

知的作業のさまざまな領域においてAIがすでに人間を凌駕していることが明らかになっているが、共通テストが測定しようとしている知的能力においても、いまや生成AIは人間を大きく上回ることが示されたと言える。

これは、AIベンチャーのライフプロンプト(LifePrompt)社と日本経済新聞社による共同検証で明らかにされたものだ。

ライフプロンプト社は、2023年から毎年、生成AIを用いて同種の検証を行なっているが、2024年時点では得点率は約66%にとどまっていた。わずか2年で30ポイント以上も向上したことになる。驚くべき急激な伸びだ。

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写真=iStock.com/NanoStockk
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わずか3年で人間を凌駕した

この結果の意味を理解するには、これまでの試みと比較するのが分かりやすい。

国立情報学研究所が2011年から行なっていたプロジェクト「ロボットは東大に入れるか」(大学入試レベルの問題をAIに解かせる試み)は、最終的に総合偏差値が57程度と評価され、2016年11月に東京大学合格を断念した。当時のAIは、個別科目では一定の成果を上げても、総合的な学力評価において不十分だった。

ChatGPTも、わずか3年前にはひどい状況だった。

「円周率πが、3.05より大きな数であることを証明せよ」という問題がある(これは、2003年の東京大学の入試で出題されたもの)。この問題をChatGPTに解かせたところ、その答えは、つぎのようなものだった。

「円周率は3.14……であることが分かっています。したがって、円周率は3.05より大きいことが証明されました」

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