年金だけで暮らしていくのはきびしい――。そのことに気づいたのは60代の半ばでした。

母に認知症の症状が出始め、30年携わった特別支援教育の仕事を退職したのが59歳のときです。介護をしながら、もともと好きだった絵をカルチャースクールで学び、展覧会に出したりする生活を送っていました。このまま趣味の絵を楽しみながら年金生活を続けられれば……と思っていたのですが、実際に計算してみるとそう簡単にはいかないことがわかりました。そこで、仕事を探し始めたのです。

塾講師や、司書教諭の資格を持っていたこともあり、教育関係の仕事を中心に履歴書を出したところ、ほとんどが書類選考の段階で門前払い。高齢者の仕事探しがきびしい現実を思い知らされました。

(構成=増田忠英 撮影=八木虎造)