銀行とノンバンクの違い

ただ、それでも、プライベートクレジットにまったくリスクがないと言い切ることもまた難しいと私は考えています。第4章以降で見るように過去の金融危機の発端はそれぞれ異なっていますが、より大きな視点、歴史的な視点で眺めると、その前提条件や相場環境には共通点があるようにも見えてくるからです。

プライベートクレジットを利用する企業は、中小企業や負債比率が高い会社、いわゆる「相対的に信用力の低い会社」が中心です。こういった会社は銀行から借りづらいためにプライベートクレジットに頼らざるを得ないところがあります。

企業は基本的に、おカネを借りるときは銀行、それも一流銀行から借りることを好みます。「一流銀行の審査を通った会社」であることが、対外的な信用力に繋がるからです。

銀行から借りられない場合にやむなく、ノンバンクから借りるのが一般的な傾向です。もちろん、あえて銀行でなくノンバンクからの借り入れを選択することもありますが、それは借り入れ金利が銀行より低く設定されていたり、融資の際の条件である「財務制限条項」が緩い、などの場合です。

銀行看板
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規制は銀行より格段に緩い

ノンバンクは文字通り「銀行とは違う」金融機関です。

リーマンショックや、日本でも不動産バブルなどを経て、銀行に対する資本規制が世界的に非常に厳しくなりました。

決済機能を持ち、一般の人の生活に密着している金融機関が危機に陥ると取り付け騒ぎのようなパニックを起こし、経済そのものに大ダメージを与えてしまうため、融資の具体的な中身にまで監督当局が介入し、監視しているのです。定期的な検査で、「こんな危ない会社に貸しているのか」と指摘されてしまいます。

しかしノンバンクの場合、決済機能がなく、たとえその金融機関が倒産しても直接一般人の生活に関わることはないため、破綻した場合の社会的なインパクトが銀行に比べて圧倒的に小さく、当局の規制も銀行に比べて格段に緩く設定されています。そのため、ノンバンクは信用力の低い企業に、高い金利でおカネを貸すことができるのです。

コロナウイルスの感染拡大によって各国が巨額の財政出動をし、マーケットに資金を拠出した結果、世界中で「カネ余り」の現象が起き、集まった資金は少しでも有利な投資先を血眼になって探しています。

ところが、銀行が規制でがんじがらめになっているため、行き場を失った資金の一部がノンバンクに流れ込み、それがプライベートクレジットの肥大化を招いているのです。