「中国包囲網」が与える経済的損失

外交誌『フォーリン・アフェアーズ』デジタル版に掲載された記事「America Still Has the Upper Hand Over China(アメリカはなお中国より優位にある)」によると、2025年の世界のハイテク分野の企業利益はその半分以上、実に58%はアメリカ企業が占める。NATO加盟国や東アジアなどアメリカの同盟国・友好国企業が26%、中国企業にいたってはわずか8%にすぎない。

中国はEV、太陽光パネル、電池、造船、ドローンなど幅広い産業で巨大な生産能力を持つ一方で、最先端半導体の設計ソフト、製造装置、特殊素材、民間航空機、大型ガスタービン、高度な研究機器などでは、今もなお外国の技術や設備に依存する部分がいまだに多く、中国は世界から年間2兆ドル規模の中間財を輸入している。

ただし、アメリカ単独では中国の供給網を完全に押さえることは困難だ。アメリカから中国への輸出は約1280億ドルにすぎず、アメリカが輸出を止めても、多くの商品は他国から調達できるからだ。

だが、日本、韓国、台湾、欧州までが足並みをそろえれば事情は大きく変わってくる。

上記記事では、アメリカ単独で中国との貿易を全面的に遮断した場合、中国側の損失はアメリカ側より3分の1程度の大きさにとどまる一方、アメリカの同盟国まで経済関係の遮断に加わった場合、中国側の損失は米国側の5倍から11倍に達し得ると試算している。

半導体、製造装置、素材、ソフトウエア、金融、市場、研究開発力と多岐にわたる産業力を有する日米欧が一体化すれば、中国のチョークポイントを相殺できる可能性がある。

アメリカは頼れない、なら日本が…

重要なのは、それを一つのネットワークにまとめるかどうかだ。中国の政策が「点」であるなら、日欧米の政策は「面」で対抗する必要がある。

本来なら、その役割を担うのはアメリカだったが、第2次トランプ政権は、日本や欧州などの同盟国にも関税を課し、米国内への巨額投資や米国製品の購入を求める独自の「ドンロー主義」(モンロー主義+ドナルド)を貫いており、「ハブ」になれる状態ではない。

アメリカ政府によれば、日米合意では日本からの輸入品に原則15%の関税を適用する一方、日本による5500億ドル規模の対米投資が組み込まれた。米EU合意についても、EUからの輸入品に15%の関税を課し、EU側が6000億ドルの追加投資を行う内容と説明されている。

これは「アメリカ第一主義」という国内政治の論理としては理解できるものの、中国に対抗する経済安全保障ネットワーク構築の核にはなりにくい。

だからこそ、日本が重要になる。