日本主導で2つの枠組みを1つに

2026年3月の日米首脳協議ではさらに、重要鉱物の生産量と供給元を増やすための行動計画、最低価格などによって支えられる複数国間の貿易枠組み、南鳥島周辺のレアアース泥を含む深海鉱物資源の共同研究・産業協力も確認された。

もっとも、パワー・アジアとパックス・シリカは、現段階では別々の枠組みとして発表されている。両者を一つの対中戦略として統合することが正式決定されたわけではない。

しかし、すでに進んでいる日米の重要鉱物協力を見れば、この二つを接続することは十分に現実的な政策構想である。だからこそ、日本が主導する余地がある。

もっとも、日本が自動的にハブになれるわけではない。最大の問題は、日本を含む西側諸国が長期的な産業投資を続けられるかにかかっている。

本当の勝負は「安く作ること」ではない

中国産レアアースの価格が再び下がれば、民間企業は高コストの代替供給網から撤退したくなる。政府も危機が去れば補助金や備蓄を縮小する。

すると、中国側が大幅に価格を下げて競合企業を採算割れに追い込み、退出したところで再び市場支配力を取り戻すことが可能になる。

したがって、本当の勝負は「中国より安くレアアースを作れるか」ではなく、「中国が採算を無視した安値攻勢をかけても、代替供給網が生き残れる市場を作れるか」にある。そのためには最低価格、長期購入契約、政府備蓄、共同調達、融資、保証、保険、さらに環境コストを反映した貿易措置などを組み合わせる必要がある。

実際、日米の重要鉱物枠組みも、非市場的政策や不公正な貿易慣行に対抗し、責任ある採掘・加工に必要なコストを反映した価格形成の重要性を掲げている。

もう一つ重要なのは、ASEAN諸国に「中国かアメリカか」という選択を迫らないことだ。参加国の国内で精製・加工産業を育成し、雇用を増やし、人材を育て、技術を移転する必要がある。日本の役割は、中国排除を声高に叫ぶことではない。

トランプ米大統領(右)と中国の習近平国家主席(=2026年9月25日、アメリカ・ワシントン)
写真=AFP/時事通信フォト
トランプ米大統領(右)と中国の習近平国家主席(=2026年9月25日、アメリカ・ワシントン)

中国に依存しなくても成長できる選択肢を提示できて初めて、「非覇権的な日本」という立場が外交上の資産になる。